2013年01月24日
個人間の使用貸借契約締結の際に課税される事もあった
『使用貸借』という言葉がありますよね、無償で借りる(貸す)という感覚です。
民法では、以下のように。
(使用貸借)
第593条 使用貸借は、当事者の一方が無償で使用及び収益をした後に返還をすることを約して相手方からある物を受け取ることによって、その効力を生ずる。
(借用物の返還の時期)
第597条
3(3項) 当事者が返還の時期並びに使用及び収益の目的を定めなかったときは、貸主は、いつでも返還を請求することができる。
ただで(無償で)借りる際に、何時返すから、と決めることも少ないでしょうから、借り主は『返して』と言われたら即、返却しなければならない立場に。
親の土地を息子が無償で借りて家を建てた、なんて事もよくあることかと。
法的には息子はいつでも原状回復・明け渡しの義務があるのでしょう、そんな状況で家を建てるなんて恐ろしい事なのかも知れません(^^)。
もっとも使用貸借は絆で結ばれた特殊関係者の間でしか生じないのでしょうから、返してなんて無粋なことも言わないのでしょうね。
さて、自分の土地の上に他人が建物を建てていたら、その土地の相続税評価はどうなるのか?
一般的には借地権の部分を控除して評価します、借地権=立ち退き料と考えると分かり易いかも知れません。
他人が息子で、使用貸借で土地を貸していたらどうなる?
その土地は、自用地評価(自分が自由に使える土地)となり借地権は控除しません。息子に立ち退き料は払わないから、ただで貸したのにそのうえ立ち退き料までよこせとは何事か、ですよね。
しかしながら、その昔、使用貸借で土地を貸したら、借地権部分の贈与が有ったものとして贈与税が課税された時代があったようなのです。そして、課税されたことに異議を申し立て裁判になった事例まで。
大阪地方裁判所(昭和43年11月25日判決):昭和42年(行ウ)第38号
妻が夫の土地を無償で借り受けアパートを建築したところ、借地権相当の贈与が有ったものとして課税された。これを不服として裁判となり納税者の主張が認められた。
この判決から5年の後、いわゆる使用貸借通達が。
(使用貸借による土地の借受けがあった場合)
1 建物又は構築物(略)の所有を目的として使用貸借による土地の借受けがあった場合においては、借地権(略)の設定に際し、その設定の対価として通常権利金その他の一時金(略)を支払う取引上の慣行がある地域(略)においても、当該土地の使用貸借に係る使用権の価額は、零として取り扱う。
使用貸借に係る土地についての相続税及び贈与税の取扱いについて(昭和48年11月1日)より。
この通達が出た後に締結された個人間での土地の使用貸借の際には、相続税及び贈与税上使用権の価額はゼロとして取り扱われます。
では、昭和48年11月1日前だったら?
はい、その辺りはいろいろございますのでここでは書き切れません、また次回にでも。
上の画像は、国税庁のHPから転載・加工させていただきました。
確定申告のご相談なら鯖江の税理士法人川中経営
税理士・ITコーディネータ 川中重司
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