2013年01月17日

借地人の地位は4回のステップを経て徐々に強化されていった

借地人の地位は4回のステップを経て徐々に強化されていった

前の記事『土地の賃借人の権利は『地震売買』を招いたほど弱いものからのスタートだった』では、賃借人(建物建築のために土地を借りた人)の権利は非常に弱いところからスタートした事を書きました。
では今回は、その賃借人の権利が徐々に強化されていった流れの確認です。

(2)『建物保護に関する法律』の制定(明治42年)
(3)『(旧)借地法』の制定(大正10年)
(4)『(旧)借地法』の一部改正(昭和16年)
(5)『(旧)借地法』の一部改正(昭和41年)

(2)『建物保護に関する法律』の制定(明治42年)

賃借権は、地主の承諾を得た場合にのみ賃借権を登記・第三者に対抗できるが、現実問題として地主の承諾が得られない、という状況でした。
このため、建物保護に関する法律の規定では、
建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約が締結された場合においては、
その賃借権の登記がないときにおいても、
その建物の登記がなされていることを要件として、
賃借権は第三者対抗要件を具備することとされました。

これにより、地主が変わっても、地主に賃借権を主張できるようになった、と。
(地主は土地の現況を確認し、土地に賃借権の登記が無くても、建物の登記の有無を確認すべきである。)

が、この段階では、賃貸借契約期間が終了したときの保護まではいたらなかった。
賃貸借契約期間が終了したら出て行ってくれ、借りた物は返す、という状態。
(賃貸借契約期間は20年以下ですから、短いと辛いですね。)


(3)『(旧)借地法』の制定(大正10年)

・借地権の範囲の明確化
・契約期間の長期化
・契約更新の請求あるいは建物の買取請求制度


・借地権の範囲の明確化
『借地権とは、建物の所有を目的とする地上権及び賃借権をいう』とされ、その範囲が明確化された。

・契約期間の長期化
堅固な建物の所有を目的とする場合…30年以上(60年の契約を締結したものと認定)
非堅固な建物の所有を目的とする場合…20年以上(30年の契約を締結したものと認定)
 括弧書き内は、契約により期間を定めなかった場合。
 括弧書きの左は、契約により期間を定める場合。

・契約更新の請求あるいは建物の買取請求制度
借地期間が満了しても、まだ借地上の建物が朽廃せず存続する場合には、
借地人は地主に対して更新の請求をすることができる(注)。
地主が更新請求に応じないときは、
借地人は地主に対して建物の買取請求権を行使することができる。

(注)
法定更新制度ではないものの、
借地人の投下資本の回収手段が保全されることとなった。
が、まだ、借地権の存続期間が満了した場合には、借地上に建物が存続していても、原則としてその借地権が消滅する、借りた物は返す、です。


(4)『(旧)借地法』の一部改正(昭和16年)

・法定更新制度の導入

借地期間が満了してもまだ借地上に建物が朽廃せずに存続する場合には、
その土地を地主が使用する相当の必然性を有する正当な事由がない限り、
契約が自動的に更新されることとなった。


(5)『(旧)借地法』の一部改正(昭和41年)

・地主に代替する許可裁判の制度の導入

借地権(債権である借地権)の譲渡又は転貸を地主が承諾しない場合には、
裁判所に対して、地主に代替して譲渡等に対する許可の裁判を求める事ができる。

(許可しないという)地主の嫌がらせにあっても、裁判所に許可を出して貰えることとなったわけですね。
所有権者である地主に代わって裁判所が許可を出す、この様に借地人の地位は強固なものになったわけです。(テキストでは、債権である賃借権はここいおいて事実上、物権化することとなりました。と記されています。)


この様に4回のステップを経て強化されてきた借地人の権利、
 明治42年 『建物保護に関する法律』の制定
 大正10年 『(旧)借地法』の制定
 昭和16年 『(旧)借地法』の一部改正
 昭和41年 『(旧)借地法』の一部改正

これは、下記の出来事とも密接な関係があるようです
 明治37年 日露戦争 (1904年)
 大正03年 第一次世界大戦 (1914年)
 昭和14年 第二次世界大戦 (1939年)

田舎から人が出てくる、民家を建てる、工場も建てる、土地を借りて。
この借地人の権利の保護の意味合いもあったことでしょう。


いつの間にか、
借りた物は返す、から、貸したら返ってこない、になった貸地。
これでは問題があると言う事で、
平成3年 (新)借地借家法が制定され、定期借地権制度創設などが行われました。
貸したら返ってこない、から、借りた物は返す、に戻っていったわけですね。
(新)借地借家法には、貸したら返ってこない(普通借地権)、と、借りた物は返す(定期借地権)、が含まれています。


民法上の借地権の整理の次は税法上の借地権の整理。
こちらは次回『賃借権の定義は各税法毎に異なる』にて。


この記事の内容は、名古屋で開催された借地権の辺りの研修(講師:笹岡宏保先生)のテキストを参考に川中の記憶による取りまとめであります。

写真は研修2日目の御弁当、45分の昼食時間にも慣れた2日目でした。


 ネットビジネスを応援する鯖江の税理士法人川中経営
  税理士・ITコーディネータ 川中重司
posted by 福井県は鯖江市の税理士 at 23:22 | Comment(0) | TrackBack(0) | ・相続や贈与について
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