2013年01月16日
土地の賃借人の権利は『地震売買』を招いたほど弱いものからのスタートだった
一泊二日の研修に参加してきました。
借地権がテーマのこの研修、講師は税理士の笹岡宏保先生。今までに何度も先生の研修を受けていますが非常に分かり易く、今回も収穫の多い研修でした。
この研修のメモを何回かに分けて記して行こうと思います。まずは借地権の歴史から。
(1)『民法』の制定(明治29年)
(2)『建物保護に関する法律』の制定(明治42年)
(3)『(旧)借地法』の制定(大正10年)
(4)『(旧)借地法』の一部改正(昭和16年)
(5)『(旧)借地法』の一部改正(昭和41年)
(6)『(新)借地借家法』の制定(平成3年)
(1)『民法』の制定(明治29年)
土地の賃借関係の制定については、
・地上権(=物権)契約
・賃借権(=債権)契約、の二元主義を設けた。
物権とは、
目的物を直接的に支配して、その目的物を使用・収益・処分することができる排他的な権利。
(研修に持参したお茶を、直ぐに飲む・ゆっくり飲む・あるいは飲まない、も持ち主の自由です。)
民法においては9つを限定列挙している。(占有権・所有権・地上権・永小作権・地役権・留置権・先取特権・質権・抵当権)
地上権とは、
工作物または竹木を所有するため、他人の土地を使用することができる権利。
債権とは、
債権者が債務者に対して一定の行為を請求することを内容とする権利で排他性を有しないもの。
◎地上権の特徴
・存続期間
(原則)当事者間の契約により自由
(特則)契約により期間の定めがない場合には、当事者の請求により20年以上50年以下の範囲内で裁判所が制定
・第三者対抗要件
地上権者は、地主の承諾がなくても地上権を登記することが可能であり、その登記をすることにより第三者に対抗することが可能となる
・地上権の処分
地上権者は、地主の許可がなくても、地上権を処分することが可能
◎賃借権の特徴
・存続期間
(原則)20年以下に法定、この期間より長期の契約は20年の契約に短縮される
(更新)法定期間経過時において20年以内の期間をもって更新することが可能(できる、であって、基本は借りた物は返す。)
・第三者対抗要件
賃借権者は、地主の承諾を得た場合にのみ賃借権を登記することが可能であり、その登記をすることにより第三者に対抗することが可能となる
・賃借権の処分
賃借権者は、地主の許可がなければ、賃借権を処分することが不可能
賃借権の登記を地主が許可するとは考えにくく(自分の土地に他人の権利を付ける訳ですから)賃借権の登記はなかなかなされなかったと思われる。
と言うことは、賃借権者の権利は極めて弱いものであった(第三者に対抗できないわけですし)。
仮に、地主が変わったとして、賃借権者は『新』地主に権利を主張できない、たとえ『新』地主に即時立ち退きを要求されても。
立ち退きしますか?それとも、地代を上げてくれますか?
再度、地主が変わったら、また同じ事が、『新・新』地主との間で。
さらには、『新・新・新』地主との間で。
挙げ句の果てには、『新・新・新・新』地主として『旧』地主が現れた…。
地主が地代の値上げ交渉しても断られるかもしれません、が、地主が変われば。
賃貸されている土地の仮装売買も行われたようで『地震売買』とも。
(地震と同じように借地上の建物の存在を危うくすることから。)
この様な弱い立場で始まった賃借人の権利、これを保護する動きが『建物保護に関する法律』から始まったわけです。
続きは、『借地人の地位は4回のステップを経て徐々に強化されていった』にて。
ほとんど、笹岡先生のレジメからの転載になってしまいましたm(__)m
でも、勉強になる良い研修でしたよ。
写真は、研修で支給された御弁当、外に出なくて済むので助かりました。
相続のご相談なら鯖江の税理士法人川中経営
税理士・ITコーディネータ 川中重司
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