2012年08月11日

後編:相続税対策としての贈与、本当に贈与があったのですか?

後編:相続税対策としての贈与、本当に贈与があったのですか?

この記事は『相続税対策としての贈与、本当に贈与があったのですか?:前編』の後編となります。

前編では、預金の名義人がその預金の所有者とは限らない、という話を。
名古屋地方裁判所(平成2年3月30日、昭和62年(行ウ)第7号)の判決を紹介させていただきましたが、もう一本、分かり易い判決がありましたので今回はそちらのご紹介から。

タイトル
(相続財産の範囲/家族名義預金) 本件相続人名義の定期預金は、相続人らが相続開始の日まで、その管理運用に積極的に関与していた事実は認められず、その支配権は被相続人にあったものと考えられ、その原資は被相続人の稼得した所得から賄われたものであることを併せ考えると、本件定期預金の実質的な帰属は被相続人にあったと判断した事例
一次(概要)
〔裁決要旨〕
1 預貯金の帰属については、名義人が誰であるかという形式的事実のみならず、当該財産の出捐者、使用印鑑、管理運用の状況、贈与事実の有無等の具体的事実に基づいて、総合的に判断するのが相当である。
2 本件■■■系定期預金は、被相続人の給与が振り込まれる普通預金口座を原資とし、被相続人ないし妻甲が本件子供ら名義を用い、(略)、これらの手続は主に甲が行っていた。
3 (略)、本件定期預金が本件子供らに引渡された時期も実際には本件相続の開始後であることなどから総合的に判断すると、本件子供らが、本件相続開始まで、その管理運用に積極的に関与していた事実は認められず、本件定期預金の支配権は被相続人ないし管理運用を任されていた甲にあったものと考えられる。
(略)
 コード番号 F0−3−170

(TAINS(タインズ)というデータベースから転載させていただきました。
 また、『(略)』は川中が行いました、全文はタインズに入会されて…ということで。)


・そのお金はどこから出てきたものなの?
・通帳や印鑑の管理はだれがしているの?
・そのお金を自由に使える状況にあるの?

子供が、おじいちゃんから100万円の資金の贈与を受けました。
通帳の管理や銀行からの引出は、おじいちゃんにお願いしています。
お金の使い道は、子供が自由に決められます。

こんな状況であれば、これは本当に贈与があったのでしょうね、きっと。

我が家は生前に贈与をしていっているから大丈夫。
で、相続税申告の税務署の調査で贈与が認められず追徴となった。
そんなことが無いように、注意してゆきたいですね。


『贈与税の申告をしていれば大丈夫では無いか?』
そんな声も聞かれます。
この辺りは次回にでも。


写真は本分と無関係(^^)、すみよしさんの夏野菜カレー。
色鮮やかで食欲をそそりますね。
子供にはちょっと辛すぎたようですが、川中はまだまだOKです。


 助成金・給与計算・社会保険のご相談なら鯖江の税理士法人川中経営
  税理士・ITコーディネータ 川中重司
posted by 福井県は鯖江市の税理士 at 08:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ・相続や贈与について
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