2010年11月11日

帳簿とは何でしょう?論点整理は大切。

帳簿とは何でしょう?論点整理は大切。

『税理士業務と手続法改革の接点〜更正の請求などはどうなるのか〜』
北陸税理士会の全国統一研修会の講師は、北陸税理士会でもお馴染みの三木義一先生。

弁護士でもある三木義一先生のお話は、税制調査会の話から始まり、先日の相続税と所得税の二重課税問題の解説、など、いわゆる税法計算の話とは違った角度から。

◎事例1.
青色申告をしている人のところに税務調査が行われ、
帳簿が無いという理由で青色申告の取消、と、税金の追徴が行われた。
白色申告の場合は理由付記が不要となるため、何故、追徴となったのか分からない。

不服審判所では、まず、『帳簿が無い』という事について、『帳簿とな何か?』という整理から始められた・・・。


◎事例2.
相続税の申告を行った後、当初予定していた税金計算方法がとれなくなったことを理由として、遺産分割協議をやり直した場合、認められるのか?
(最初からその様な遺産分割協議であったとして、相続税の計算・申告を行うことができるのか?)

(経緯)
上記の事実が発覚し、遺産分割と相続税の申告をやり直したところ、
署から、下記2点の指摘を受けた。
1.遺産分割協議のやり直しによる相続税の計算は認められない。
2.遺産分割協議のやり直しは再分割であり、贈与税の課税対象となる。

国税不服審判所に持ち込んだところ、以下のような裁決となった。
1.最初の遺産分割協議は、錯誤があり、無効である。(注1)
2.従って、再分割とはならないので、贈与税の課税関係は生じない。
3.相続税の計算は、当初の遺産分割協議の内容に従って行うこと。(注2)
  (再分割の内容に基づく相続税の計算は認められない。)

(注1)
当初の遺産分割協議書には、
『配当還元方式を採用できるようにするためにこの様な分割とする』という趣旨の事が明記されていたことが決め手の一つとなり、
当初の遺産分割は、錯誤により民法上は無効となった。

(注2)
税務調査があったことを原因としての遺産分割協議のやり直しは認められない(申告期限内であれば主張できるが、期限後には主張できない)との判決がある。
(今回の場合とは異なるのだが。)

東京地裁平成21年2月27日判決の内容
1.相続税負担の錯誤による遺産分割の無効は、原則として認められない。
2.例外的に認められるのは・・・
@申告者が、更正請求期間内に、かつ、課税庁の指摘、修正申告の勧奨、更正処分等を受ける前に、自らが誤信に気付いて、更正の請求をし、
A更正請求期間内に、新たな遺産分割の合意による分割内容の変更をして、当初の遺産分割の経済的成果を完全に消失させており、かつ、
Bその分割内容の変更がやむを得ない事情により誤信の内容を是正する一回的なものであると認められる場合
のように、更正請求期間内にされた更正の請求においてその主張を認めても上記の弊害が生ずるおそれがなく、申告納税制度の趣旨・構造及び租税法上の信義則に反するとはいえないと認めるべき特段の事情がある場合に限られるものと解するのが相当である(以下、省略)


こんな感じで、税務調査の後の場での解説をしていただきました。
税務署の課税処分に対する異議申し立て件数は1,134件(平成20年度)、この年の課税処分は234,760件ですから、異議申し立て(=裁判)の割合・件数が如何に少ないかが分かります。
税理士が遭遇することは少ないのですが、問題を紐解く方法を、道しるべを示してくださいました。


『そんなの常識ですよ。』時々耳にする言葉です。
そんな言葉に逃げることなく、お互いの意見の相違点をしっかり把握して議論できるようになりたい、そう再認識した研修でした。

三木義一先生、ありがとうございました。


 年末調整のご相談なら鯖江の税理士法人川中経営
  税理士・ITコーディネータ 川中重司
posted by 福井県は鯖江市の税理士 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ・研修のメモ
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