2016年12月11日

法人課税〜平成29年度税制改正大綱の斜め読み〜

法人課税〜平成29年度税制改正大綱の斜め読み〜

平成29年度税制改正大綱の斜め読み・法人課税編です。

この斜め読みは、川中の勝手な斜め読み・抜粋・修正版であり、また、タイプミスが有る可能性があります。
必ず、オリジナルの『平成29年度税制改正大綱』にてご確認下さい。


 ネットビジネスを応援する鯖江の税理士法人川中経営
  税理士・ITコーディネータ 川中重司

★★★★
三 法人課税
1 競争力強化のための研究開発税制等の見直し
(国 税)
〔延長・拡充等〕
(1)試験研究を行った場合の税額控除制度(研究開発税制)について、次の見直しを行う
(所得税についても同様とする。)。

1 試験研究費の総額に係る税額控除制度について、
税額控除率(現行:試験研究費割合に応じ8〜10%)を
次の試験研究費の増減割合に応じた税額控除率(10%を上限とする。)とする制度に改組する。

2 試験研究費の増加額に係る税額控除又は平均売上金額の10%を超える試験研究費に係る税額控除を選択適用できる制度について、
試験研究費の増加額に係る税額控除を廃止した上、
その適用期限を2年延長する。

3 2年間の時限措置として、次の措置を講ずる。
イ 試験研究費の総額に係る税額控除制度の税額控除率の上限を
14%(原則:10%)とする。
ロ 中小企業技術基盤強化税制について、
試験研究費の増加割合が5%を超える場合には、次のとおりとする。
(イ)税額控除率(12%)に、増加割合から5%を控除した割合に 0.3 を乗じて計算した率を加算する。
ただし、税額控除率の上限は 17%とする。
(ロ)控除税額の上限(当期の法人税額の 25%)に
当期の法人税額の10%を上乗せする。
なお、
平均売上金額の10%を超える試験研究費に係る税額控除制度との選択適用とする。

ハ 試験研究費の額が平均売上金額の 10%を超える場合には、
平均売上金額の 10%を超える試験研究費に係る税額控除制度の適用に代えて、
次の措置を適用できる。

(イ)試験研究費の総額に係る税額控除制度について、
控除税額の上限(当期の法人税額の 25%)に、
当期の法人税額に試験研究費割合から10%を控除した割合を2倍した割合
(10%を上限とする。)
を乗じて計算した金額を上乗せする。

(ロ)中小企業技術基盤強化税制について、
控除税額の上限(当期の法人税額の 25%)に、
当期の法人税額に試験研究費割合から10%を控除した割合を2倍した割合
(10%を上限とする。)
を乗じて計算した金額を上乗せする。

なお、上記ロ(ロ)との選択適用とする。


4 試験研究費の範囲について、
対価を得て提供する新たな役務の開発に係る試験研究のために要する一定の費用を加える。

5 特別試験研究費の額に係る税額控除制度について、
次の見直しを行う。
イ 特別試験研究費の対象となる共同研究及び委託研究に係る相手方が支出する費用で自己が負担するものについて、
その費用の限定(現行:原材料費、人件費、旅費、経費及び外注費)を廃止し、
これらの研究に要した費用とする。

ロ 契約変更前に支出した費用について、
その契約に係るものであることが明らかであり、
かつ、
その支出日と契約変更日が同一の事業年度内にある場合には、
特別試験研究費の対象となることを明確化する。
ハ その事業年度における特別試験研究費の額であることの相手方による確認について、費用の明細書と領収証等との突合を要しないこととする。


(国 税)
〔拡充等〕
雇用者給与等支給額が増加した場合の税額控除制度について、
次の見直しを行う
(所得税についても同様とする。)。

(1)中小企業者等以外の法人について、
平均給与等支給額が比較平均給与等支給額を超えることとの要件を、
平均給与等支給額から比較平均給与等支給額を控除した金額の
その比較平均給与等支給額に対する割合が2%以上であることとの要件に
見直すとともに、
控除税額を、
雇用者給与等支給増加額の10%と
雇用者給与等支給増加額のうち
雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額に達するまでの金額の2%との合計額
(現行:雇用者給与等支給増加額の10%)とする。

(2)中小企業者等について、
平均給与等支給額から比較平均給与等支給額を控除した金額の
その比較平均給与等支給額に対する割合が2%以上である場合における控除税額を、
雇用者給与等支給増加額の10%と
雇用者給与等支給増加額のうち雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額に達するまでの金額の12%との合計額
(現行:雇用者給与等支給増加額の10%)とする。


3 コーポレートガバナンス改革・事業再編の環境整備
(国 税)
(2)法人の支給する役員給与等について、次の見直しを行う。
1 利益連動給与について、次の見直しを行う。

4 定期同額給与の範囲に、
税及び社会保険料の源泉徴収等の後の金額が同額である定期給与を加える。

(注)上記の改正は、
退職給与に係る部分、
譲渡制限付株式に係る部分及び新株予約権に係る部分は
平成 29 年 10 月1日以後に支給又は交付に係る決議
(その決議がない場合には、その支給又は交付)
をする給与について適用し、
その他の部分は
同年4月1日以後に支給又は交付に係る決議
(その決議がない場合には、その支給又は交付)
をする給与について適用する。


10 営業権の償却方法について、
取得年度の償却限度額の計算上、月割計算を行うこととする
(所得税についても同様とする。)。
資産調整勘定及び負債調整勘定についても同様とする。


4 中堅・中小事業者の支援
(国 税)
〔新設〕
地域中核企業向け設備投資促進税制の創設
企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律の改正を前提に、
青色申告書を提出する法人が、
同法の改正法の施行の日から平成31年3月31日までの間に、
その法人の特定承認地域中核事業計画に係る地域未来投資促進法(仮称)の同意地域中核事業促進地域(仮称)内において
特定地域中核事業施設等を新設し、
又は増設した場合において、
その特定地域中核事業施設等を構成する機械装置、器具備品、建物及びその附属設備並びに構築物の取得等をして、
その地域中核事業(仮称)の用に供したときは、
その取得価額の40%(建物及びその附属設備並びに構築物については、20%)の特別償却と
その取得価額の4%(建物及びその附属設備並びに構築物については、2%)の税額控除との
選択適用ができることとする。
ただし、税額控除における控除税額は、
当期の法人税額の20%を上限とする
(所得税についても同様とする。)。

(注1)上記の「特定承認地域中核事業計画」とは、
承認地域中核事業計画(仮称)のうち、
地域未来投資促進法による一定の基準に適合することについての国の確認を受けたものをいう。
(注2)上記の「特定地域中核事業施設等」とは、
その法人の特定承認地域中核事業計画に定められた施設又は設備で、
その計画に従って行う地域中核事業の用に供するもののうち、
その取得価額の合計額が2,000万円以上のものをいう。
(注3)対象資産の取得価額の合計額のうち本制度の対象となる金額は100億円を限度とする。


〔延長・拡充等〕
(1)中小企業向け設備投資促進税制の拡充
中小企業投資促進税制及び特定中小企業者等が
経営改善設備を取得した場合の特別償却又は税額控除制度について、
次の措置を講ずる
(所得税についても同様とする。)。

1 中小企業投資促進税制の上乗せ措置(生産性向上設備等に係る即時償却等)
について、
次の中小企業経営強化税制として改組し、
全ての器具備品及び建物附属設備を対象とする。

青色申告書を提出する中小企業者等で
中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受けたものが、
平成29年4月1日から平成31年3月31日までの間に、
生産等設備を構成する機械装置、工具、器具備品、建物附属設備及びソフトウエアで、
特定経営力向上設備等に該当するもののうち、
一定の規模以上のものの取得等をして、
その特定経営力向上設備等を国内にあるその法人の指定事業の用に供した場合には、
その特定経営力向上設備等の普通償却限度額との合計でその取得価額までの特別償却と
その取得価額の7%(特定中小企業者等にあっては、10%)の税額控除との
選択適用ができることとする。
ただし、
税額控除における控除税額は当期の法人税額の20%を上限とし、
控除限度超過額は1年間の繰越しができる。

(注1)中小企業者等及び特定中小企業者等の範囲は、
中小企業投資促進税制及び特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は税額控除制度の対象法人のうち、
中小企業等経営強化法の中小企業者等に該当するものとする。

(注2)上記の「生産等設備」とは、
その法人の指定事業の用に直接供される減価償却資産で構成されているものをいう。
なお、事務用器具備品、本店、寄宿舎等に係る建物附属設備、福利厚生施設に係るもの等は該当しない。

(注3)上記の「特定経営力向上設備等」とは、
経営力向上設備等のうち経営力向上に著しく資する一定のもので、
その法人の認定を受けた経営力向上計画に記載されたものをいう。

(注4)上記の「経営力向上設備等」とは、
中小企業等経営強化法に規定する次の設備をいう。
イ 生産性向上設備
次の(イ)及び(ロ)の要件を満たす機械装置、工具(測定工具及び検査工具に限る。)、器具備品、建物附属設備及びソフトウエア(設備の稼働状況等に係る情報収集機能及び分析・指示機能を有するものに限る。)をいう。

ただし、
ソフトウエア及び旧モデルがないものは、
次の(イ)の要件を満たすものとする。

(イ)
販売が開始されてから、
機械装置:10 年以内、
工具:5年以内、
器具備品:6年以内、
建物附属設備:14 年以内、
ソフトウエア:5年以内のものであること。

(ロ)
旧モデル比で経営力の向上に資するものの指標(生産効率、エネ
ルギー効率、精度等)が年平均1%以上向上するものであること。

ロ 収益力強化設備
その投資計画における年平均の投資利益率が5%以上となることが見込まれるものであることにつき
経済産業大臣の確認を受けた投資計画に記載された
機械装置、工具、器具備品、建物附属設備及びソフトウエアをいう。

(注5)上記の「一定の規模以上のもの」とは、それぞれ次のものをいう。
イ 機械装置 1台又は1基の取得価額が 160 万円以上のもの
ロ 工具及び器具備品 それぞれ1台又は1基の取得価額が 30 万円以上のもの
ハ 建物附属設備 一の取得価額が 60 万円以上のもの
ニ ソフトウエア 一の取得価額が 70 万円以上のもの

(注6)指定事業は、
中小企業投資促進税制及び特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の特別償却
又は
税額控除制度の
それぞれの対象事業に該当する全ての事業とする。

2 中小企業投資促進税制について、上記1のほか、
対象資産から器具備品を除外した上、
その適用期限を2年延長する。

3 特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は税額控除
制度の適用期限を2年延長する。

4 中小企業投資促進税制、特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合
の特別償却又は税額控除制度及び上記1の中小企業経営強化税制の控除税額
の上限について、
これらの制度の税額控除における控除税額の合計で、当期
の法人税額の 20%を上限とする所要の整備を行う。


(2)中小企業技術基盤強化税制について、
試験研究費の総額に係る税額控除制度の改組にかかわらず、
一律の税額控除率(現行:12%)を維持した上、
2年間の時限措置として、次の措置を講ずる。
なお、
次の1ロ、2及び平均売上金額の10%を超える試験研究費に係る税額控除制度は、
選択適用とする(所得税についても同様とする。)。(再掲)

1 試験研究費の増加割合が5%を超える場合には、次のとおりとする。
イ 税額控除率(12%)に、
増加割合から5%を控除した割合に 0.3を乗じて計算した率を加算する。
ただし、税額控除率の上限は 17%とする。
ロ 控除税額の上限(当期の法人税額の 25%)に
当期の法人税額の 10%を上乗せする。
2 試験研究費の額が平均売上金額の10%を超える場合には、
控除税額の上限(当期の法人税額の 25%)に、
当期の法人税額に試験研究費割合から10%を控除した割合を2倍した割合(10%を上限とする。)を乗じて計算した金額を上乗せする。


(3)中小企業の賃上げを促すための税制上の措置
雇用者給与等支給額が増加した場合の税額控除制度について、
平均給与等支給額から比較平均給与等支給額を控除した金額のその比較平均給与等支給額に対する割合が2%以上である場合における控除税額を、
雇用者給与等支給増加額の10%と
雇用者給与等支給増加額のうち雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額に達するまでの金額の12%との合計額
(現行:雇用者給与等支給増加額の10%)とする
(所得税についても同様とする。)。(再掲)


7 円滑・適正な納税のための環境整備
(国 税)
(1)法人税の納税地に異動があった場合に提出することとされている届出書につ
いて、
その異動後の納税地の所轄税務署長への提出を不要とする。
連結子法人の本店等所在地に異動があった場合に提出することとされている届出書についても同様とする。

(2)法人の設立届出書等について、登記事項証明書の添付を不要とする。

(3)外国税額控除制度及び研究開発税制等について、
その適用に係る申告要件につき、
納税者の立証すべき事項及び当初申告の要否を明確化し、
要件を満たす場合には税額控除額を変更できることを明らかにすることで、
税務署長が増額更正をする場合において連動的に税額控除額を増加できるものとする
(所得税についても同様とする。)。


8 その他の租税特別措置等
(国 税)

〔廃止・縮減等〕
(12)特定の資産の買換えの場合等の課税の特例について、
次の見直しを行った上、
その適用期限を3年延長する
(次の3及び4イの見直しを除き、所得税に
ついても同様とする。)。
1 市街化区域又は既成市街地等の内から外への農業用資産の買換え及び農用地区域内にある土地等の買換えは、
所要の経過措置を講じた上、適用期限の到来をもって適用対象から除外する。

2 既成市街地等の内から外への買換えについて、
譲渡資産から
事務所及びその敷地の用に供されている土地等を、
買換資産から
立地適正化計画を作成した市町村のその立地適正化計画に記載された都市機能誘導区域以外の地域内にある誘導施設に該当するものに係る土地等、建物(その附属設備を含む。)及び構築物を、
それぞれ除外する。

(注)上記の改正は、平成 31 年4月1日以後に開始する事業年度から適用する。

posted by 福井県は鯖江市の税理士 at 23:31 | Comment(0) | TrackBack(0) | ・税制改正
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